今日はちょっと漢方のお話しです。自分の勉強でもありますが、漢方や薬膳を考える上では根っこの大切なところなので、ちょっと綴ってみました。ご興味のある方は、ぜひお付き合いください!
漢方と西洋医学の違い
「人の体は気・血・水」で出来てますよ!と言っても、西洋医学に慣れている私たちは「そんな訳あるかい!笑」となると思うので、少し漢方と西洋医学の違いに触れておきたいと思います。
そもそも漢方の歴史は非常に古く、その起源は紀元前の「古代中国医学」にあると言われています。漢方は「自然哲学」に基づく「医学」で、「人間をひとつの連動したシステム」とみなし、健康を身体的・心理的な様々な要素から形成されるものである、と考えています。
一方、西洋医学は「近代西洋科学」を基に急速に発展し、特に感染症の治療や外科的治療に偉大な成果をあげてきました。西洋医学は感染症や腫瘍などの「病気を重視」し、身体のより細分化されたピンポイントの部分を見て診断していきます。
こんな感じで漢方と西洋医学では、背景の理論や病気の捉え方が違うので、漢方のお話しをする際に、「怪しい!」と思わず、そんな考えもあるのか〜と興味を持ってもらえると嬉しいです。笑
漢方(東洋医学) | 西洋医学 |
古代自然哲学を基礎理論とする | 近代西洋化学を基礎理論とする |
部分的・局所を重視する 病気(感染症・腫瘍)などを重視する | 全体を重視する 整体(体全体を整える)を重視する 正気(生命力、自然治癒力)を重視する |
<得意分野> 慢性・消耗性疾患 不定愁訴(原因不明の体の不調) 大半のアレルギー疾患 自己の免疫低下による疾患治療 | <得意分野> 外傷の処置 抗生物質による細菌性感染治療 未養成系・再建手術 |
<病気と治療の考え方> 心と身体、身体の各部位は切り離せないと考え、 心身を有機的な繋がりを持つ一つのシステムと考える。 治療は、様々なシステムの要素のバランスを回復する ようアプローチする。 | <病気と治療の考え方> 心と身体、身体の各部位は別々に働いていると捉える。 治療は異常のある病変に対してアプローチする。 |
ちなみに、「漢方」は「古代中国医学」を起源としていますが、「古代中国医学」から日本の風土(国の四方を海に囲まれているため湿気が多い、等)や日本人の思想を取捨選択した、「日本古来の医学」です。(中国の東洋医学は「中医学」、韓国は「韓医学」と呼ばれています)
人の体は「気・血・水」で構成されている
ここまでお話ししてきたように、漢方は西洋医学と病気の捉え方などが異なります。なので、ここからは西洋医学の観点は一旦忘れていただき、「これは漢方理論だ!」と思って読み進めて頂けると嬉しいです。笑
漢方的視点では、人体は「気・血・水」で構成されていると考えられます。それぞれの特徴から、「気=陽(陽気)」、「血・水=陰(陰液)に分けて考えます。陽である「気」は「人体の生理機能」をつかさどり、陰である「血・水」は「全身に栄養をめぐらせ、滋養の働き」があります。
「気」のはたらき
「気」とは人体の生命活動のもっとも基本となるものです。
「気」は生まれる時に親からもらった「先天の気」と、日々の食事や呼吸から取り込む「後天の気」から出来ています。また、「気」の本質は生命エネルギーであり、生理機能で、主に以下5つの機能があります。
- 動かすはたらき(血液循環や新陳代謝など)
- 身体を温めるはたらき(身体を温め、機能を活性化し、体温を正常に保つはたらき)
- 外邪(風邪の原因になるようなもの)の侵入を防ぐはたらき
- 変化させるはたらき(代謝、身体に取り入れた栄養を汗や尿へ転化させるはたらき)
- 漏れを防ぐはたらき(血、汗、尿などが漏れる、内臓が下垂することを防ぐはたらき)
私たち働き世代の女性は、日々頑張りすぎることで、この生命エネルギーである「気」をフル活用して消耗しています。この生命エネルギーを消耗しすぎると「気が不足(気虚)」し、「疲れてヘトヘト」の状態になったり、日々のストレスで「気」の5つの働きが上手く機能せず、「気が滞る(気滞)」ことで「イライラ」や「怒りっぽい」という状態になりやすくなります。
「血」のはたらき
「血」とは、全身を流れる赤い液体です。
「血」のはたらきは、全身に栄養を供給し、うるおすことです。また、「血」は人体の精神活動の主な基礎物質でもあります。
そのため、「血」が充実していると・・・
- 顔色が良く、筋肉が充実する
- 皮膚や毛髪にうるおいとツヤがある
- 視力が良く、四肢の活動も機敏になる
- 精神は充実し、はっきりとした意思を持つことができる
- 感覚も鋭く、意欲的に活動することができる
という状態になります。しかし、私たち女性は毎月の生理で「血が不足(血虚)」しがちです。「血」が不足すると、
- ふらふらする(貧血)
- 顔色が悪く、皮膚が乾燥する、髪は薄くなりパサパサ
- 記憶力減退
- 夜眠れない
という症状が現れます。また、ストレスなどで暴飲暴食すると「血が滞り(瘀血)」ってしまいます。そうすると、
- 血液がドロドロ、血行不良から「冷え」
- 上半身はほてるのに、下半身は冷える「ひえのぼせ」
- 栄養が全身に行き渡らないので、疲れやすい
などの不調を感じるようになります。
「血」が足りず滞ってしまうと、と「カサカサ」で「冷えやすく」、「疲れやすくなる」のです。これ最悪じゃないですか?!笑。アンチエイジングの観点からも、私たち女性は不足しがちな「血」を補い、巡らせる、ことがとても大切です!
「水」のはたらき
「水」とは、体内にある正常な水分のことで、各臓器、組織器官の体液と正常な分泌物を含みます。
「水」の働きは全身、筋肉、毛髪、粘膜、臓腑に栄養を与えてうるおし、関節のはたらきを円滑にする、などです。また、「血」の材料にもなります。「水」が不足すると
- 皮膚は乾燥して粉をふく
- 鼻や口が乾き空咳が出る
- 便が固くなる
などの症状が現れます。また、「水めぐりが悪くなる(水滞)」と、
- 雨の日に具合が悪くなる(何となく重だるい、頭痛がする、など)
- 身体が重だるい、むくみやすい
- 朝、関節がこわばる(朝何となく指先が動かしにくいことありませんか?あれです)
- 消化機能が弱まり、胃腸が弱くなる
などの症状が現れます。「今日は雨だから体調が悪い・・・」という方、結構いませんか?私は雨の日は本当に身体が重だるく、一日ぼんやりしちゃいます。原因は水巡りのせいなんです・・・。水も巡らせましょうね!
まとめ
今日は漢方の観点から、人体の構成「気・血・水」について綴らせていただきました。
十分な「気・血・水」があり、しっかり巡っていると、不調を感じず、元気に日々を過ごすことができます。でも、日々私たちは仕事や家庭のことで忙しく、ストレスも感じ、暴飲暴食もしちゃう・・・笑。なので、ちょっと不調を感じた時に、体質に合わせて養生して、日々を元気に過ごせるといいな〜と思っています。無理なく、元気に養生生活です!
今日は症状別の養生方法までは書けなかったので、また別の機会に症状別の養生方法を綴っていきたいと思います!ちなみに、ご自身の「気・血・水」タイプが知りたい方は、こちらのサイトがオススメです。(私が好きなだけ・・・笑)ぜひ、ご自身の体調もチェックしてみてくださいね!
※「黄帝内経」は中国古代の医学書で、それのマンガバージョンです。比較的読みやすいと思います!興味がある方はどうぞ。
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